映画というのは、達也も圭介も好きなコミックが、実写で映画化されるもので、SFものだが、やや暴力シーンが多い作品だ。

二人ともそれを楽しみにしていて、封切日に二人で観に行こうと話していたのだった。


(ああ、明日だったのかあ。どうすっかなあ。瑞希の面倒を見るかもしれないからなあ。まず有り得ないと思うけど、保健の先生はやけに自信あったからな…)


「圭介、悪いんだけど俺、行けねえや。明日、明後日と用事が出来ちゃってよ…」

達也は眉を下げ、“申し訳ない”という感じで圭介に言った。ところが…

「あ、そうなんだ。じゃあ、俺だけ観ちゃっていい?」

「ああ、もちろん」

「ヤッター」

「え?」

「あ、いや、じゃあね。バイバイ」

「お、おお」


(圭介の奴、なにが“ヤッター”なんだよ?)