君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

「もう行ったから、大丈夫だよ」

達也が俯いた瑞希にそう声を掛けると、瑞希は顔を上げて達也を見つめた。

「あ、あの…」

「ん?」

「ば、罰を…受けます」

「はあ?」

「私…池上君の後ろに行ったし、下を向いてしまいました。だから罰を……」

瑞希は泣きそうな顔でそう言った。

そんな瑞希がいじらしくて、抱きしめてあげたい衝動を達也は感じた。

「あ、ああいう場合はオッケー。他の奴なんかに顔を見せる事ない…」

と言ってから、達也は自分で『え?』と思った。瑞希も、キョトンとしている。

(俺、今、何て言った?
“他の奴に顔を見せるな”って言ったか?
それじゃまるで、俺だけ見てろって事にならねえか?

ダーッ。俺は何言ってんだよ。意味わかんねえ…)