君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

後ろから来て、達也の肩にポンと手を乗せたのは、2年の時に達也と同じクラスで、比較的仲が良かった男子だった。

「ああ、おまえか。そんなんじゃねえよ」

「そんな事はねえだろう…」

その男子はそう言いながら、少し屈んで無遠慮に瑞希の顔を覗き込んできた。

「ほお…、可愛い子じゃねえか。一年生か?」

はじめ、瑞希は下を向くのを我慢していたのだが、その男子が顔を近付けて来て、怖くなったので我慢出来なくなり、達也の後ろに隠れるようにして俯いてしまった。

そんな瑞希を庇うように達也は男子に体を向け、

「違うよ、この子は俺のクラスメート。俺のせいで手を怪我したから、鞄持ちをしてるだけさ」

「へえー、3年にこんな子いたっけ? っていうか、おまえってそんなに優しい奴だっけ?」

「う、うるせえよ。早く行けよ」

「はいはい。邪魔して悪かったな」

男子はニヤニヤ笑いながら手をヒラヒラさせ、遠ざかっていった。