「痛え…」
「大丈夫?」
「ああ。でも失敗した…」
「ん?」
もう瑞希は笑っていなかった。
達也を引き起こそうと瑞希が出した手を、達也はグイッと引っ張った。
「きゃっ」
胸にすっぽり収まった瑞希の髪を撫でながら、「今日は記念日だ」と達也は呟いた。
「記念日? ヒマワリの芽が出た記念日?」
「それもあるけど…」
瑞希の笑顔を初めて見た記念日なのだが、それは言わない事にした。
たぶん瑞希は自分が笑った事に気付いていない。自然に笑ったんだと思う。その方がいいのだと達也は思った。
「ねえ、何の記念日?」
「ん……あ、そうだ! アレの記念日だ!」
「あれって?」
「俺が毎晩アレを我慢してるのは知ってるだろ? もう我慢の限界! 今夜はアレの記念日にする」
「ねえ、何のこと?」
「おまえさあ、わざと言ってない?」
瑞希は可愛く首を傾げるだけだった。
「ハアー。春田先生に来てもらって、保健の授業をしてもらうかなあ…」
(完)
※最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
秋風月
「大丈夫?」
「ああ。でも失敗した…」
「ん?」
もう瑞希は笑っていなかった。
達也を引き起こそうと瑞希が出した手を、達也はグイッと引っ張った。
「きゃっ」
胸にすっぽり収まった瑞希の髪を撫でながら、「今日は記念日だ」と達也は呟いた。
「記念日? ヒマワリの芽が出た記念日?」
「それもあるけど…」
瑞希の笑顔を初めて見た記念日なのだが、それは言わない事にした。
たぶん瑞希は自分が笑った事に気付いていない。自然に笑ったんだと思う。その方がいいのだと達也は思った。
「ねえ、何の記念日?」
「ん……あ、そうだ! アレの記念日だ!」
「あれって?」
「俺が毎晩アレを我慢してるのは知ってるだろ? もう我慢の限界! 今夜はアレの記念日にする」
「ねえ、何のこと?」
「おまえさあ、わざと言ってない?」
瑞希は可愛く首を傾げるだけだった。
「ハアー。春田先生に来てもらって、保健の授業をしてもらうかなあ…」
(完)
※最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
秋風月



