君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

「キャホー」

「きゃっ」

父親が帰ると達也は叫び声を上げ、瑞希を抱えてリビングの中をグルグルと回った。

感情をこんな風に表に出す達也は珍しい。

「やったな、瑞希!?」

「あ、はい!」

瑞希はびっくりして目をパチパチしている。

「“はい”って言ったから、お仕置きだ!」

「あっ」

チュッ

「あはは、本当に良かったよ」

達也は瑞希にチュッと音をさせてキスをし、ギューッと強く抱きしめた。

「達也…」

「ん?」

「私のためにあんな事までしてくれて…」

「あんな事って?」

「お父様に、土下座を…」

「ああ、あれは見せたくなかったな。格好悪かったろ?」

「ううん、そんな事ない。すごく格好よかった。達也が王子様に見えたもん」

「そうかなあ?」

瑞希は達也の胸で涙を溢れさせていた。それは瑞希が生まれて初めて流す、嬉し涙だった。