「分かった。金以外で話を付けよう」
後で達也は知ったのだが、達也の父親は瑞希の義父に就職を世話したのだった。
下請けの会社で、社長は“親父さん”と呼ばれ、前科のあるような人間をビシビシ鍛える会社らしい。
「それと、瑞希さんの大学の費用だが、おまえが出してやればいいだろう?」
「え? どういう事ですか?」
「銀行のおまえの口座にそれぐらいの金は貯まってるはずだぞ」
「いいんですか?」
「当たり前だ。あれはおまえにやった金だからな。何に使うかはおまえの好きにすればいい」
「ありがとうございます」
「あ、それから、たまには家に顔を出してくれ」
「交換条件ですか?」
「そうじゃない。あれもおまえの事をずいぶん気にしている」
「そんな事…」
「いや、本当だ。おまえはあれの事を誤解している。そもそも、私とあれはおまえの母親と結婚するより前からで…」
「え?」
「ま、今度ゆっくり話し合おう」
「はい…」
達也の父親と今の義母は、二人が学生の頃からの恋人同士であった事。
親の命令で達也の実母と結婚した後も、その想いを消し去る事が出来なかったのだ、という話を、後に達也は聞かされたのだった。
後で達也は知ったのだが、達也の父親は瑞希の義父に就職を世話したのだった。
下請けの会社で、社長は“親父さん”と呼ばれ、前科のあるような人間をビシビシ鍛える会社らしい。
「それと、瑞希さんの大学の費用だが、おまえが出してやればいいだろう?」
「え? どういう事ですか?」
「銀行のおまえの口座にそれぐらいの金は貯まってるはずだぞ」
「いいんですか?」
「当たり前だ。あれはおまえにやった金だからな。何に使うかはおまえの好きにすればいい」
「ありがとうございます」
「あ、それから、たまには家に顔を出してくれ」
「交換条件ですか?」
「そうじゃない。あれもおまえの事をずいぶん気にしている」
「そんな事…」
「いや、本当だ。おまえはあれの事を誤解している。そもそも、私とあれはおまえの母親と結婚するより前からで…」
「え?」
「ま、今度ゆっくり話し合おう」
「はい…」
達也の父親と今の義母は、二人が学生の頃からの恋人同士であった事。
親の命令で達也の実母と結婚した後も、その想いを消し去る事が出来なかったのだ、という話を、後に達也は聞かされたのだった。



