君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

何の飾り気も化粧っけもなく、地味な服しか持っていないと言っていた瑞希との、そのあまりな違いに、達也はどうしようもないやり切れなさを感じた。

「池上君、行きましょう?」

声がして春田の方を見ると、春田に支えられながら瑞希が立ち上がるところだった。

「瑞希ちゃんを早く病院に連れて行きたいの。目が…」

と言って春田は表情を曇らせた。

「目が!?」

「とにかく急ぎましょう?」

「はい」

「あ、鞄…」

瑞希の足元に通学用の鞄と、大きなショルダーバッグが置いてあった。瑞希がそれらに手を伸ばすと、

「俺が持つよ」

と言って達也が右手で持とうとしたが、手に激痛が走って思わず「痛え…」と呟いた。

「君の手も診てもらわないとね。たぶん骨が折れてるわ」