君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

長く深いキスだった。
瑞希はまるで湯上がりのように上気した顔で、目は潤んでトロンとしている。

「瑞希、返事は?」

「え? あ…」

「俺の事、好きか?」

「私は…わからない」

「わからない? 好きじゃないのかよ?」

「好きよ。すごく。でも、それを言える立場かどうか…」

瑞希の顔が、見る見る悲しみに沈んで行った。

「立場って、どういう事なんだよ?」

「私は…」

瑞希は、ついに自分の事情を達也に打ち明ける決心をしたのだった。

「施設で暮らしてるの」

「施設?」

「児童養護施設。親がいない子供や、事情があって親が育てられなくなった子供が入る所よ」