部屋に入り、クローゼットに瑞希の制服を掛けて春田を見ると、春田はある一点を凝視していた。達也がその視線を辿って行くと…

それはベッドの上に、きちんと並べられた二つの枕だった。

「あ、いや、先生、誤解しないでください。俺達はただ…」

「あら、私は構わないと思うわよ。君があの事さえ守ってくれれば」

「あの事って…ああ、避妊ですね? それは大丈夫です。って言うか、それ以前にですね…」

「ならいいの」

「そうじゃなくて…」

「あら? これはどうしたの?」

「俺は我慢を…って、え?」

「これ、瑞希ちゃんのでしょ? どうしたの?」

春田はクローゼットに掛けられた瑞希の白いブラウスと、黒のワンピースに手を伸ばしていた。