君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

劇場を出た達也は、トイレで思わぬ人物と出会った。

「あ、圭介…」

クラスメイトの田代圭介だった。

「あれ? 達也君、用事があったんじゃなかったの?」

「え? まあ、そうなんだけど…」

圭介の追求に口ごもる達也だった。しかし、

「おまえ、一人で観に来たのか?」

と達也が聞くと、「それは…」と、今度は圭介が口ごもる番だった。

トイレから出ると、達也は通路と女子トイレの出入口にチラッと目をやり、瑞希がまだ出て来ていない事を確認した。

すると圭介も同じように視線を動かし、互いに目を合わせると、二人の間に変な空気が流れた。

「誰かを待ってるのか?」

「達也君こそ…」

「実は…」

達也が瑞希と一緒だと言おうとしたら、女子トイレから更に見覚えのある女の子が出て来た。