君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

封切日という事で、映画館には大勢の若者が集まっていた。

少年向けコミックの映画化ではあるが、達也達のようにカップルで観に来ている人が多い。

パソコンで予約した一番後ろの通路側の席に並んで座ると、達也が入口で買った大きなバケツのような容器に入ったポップコーンと、こちらも大きな容器のコーラを瑞希は渡された。

スクリーンには上演前のCMが大きく映し出されている。
瑞希は初めて見るそのスクリーンの大きさと、お腹に響くような大きな音響にドギマギしていた。

「今更遅いけど、この映画で良かったのかな?」

達也が瑞希の耳元に口を寄せて言った。

「達也が観たかった映画なんでしょ?」

瑞希も同じように達也の耳元でそう答えた。

「ああ。楽しみにしてたんだ」

「だったらいいんじゃない?」

「結構グロいシーンとかあるんだよな…」

「え? グロい?」

「ああ。もし嫌になったら言ってくれよな?」

「うん、わかった…」