君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

達也は、自分が“なんてな”と言おうとしたら、瑞希に“いいわよ”と言われたように聞こえた。

「え?(うそだろ?)」

達也は呆気に取られたが、瑞希は平然としている。

「もしかしておまえ、“いいわよ”って言ったか?」

「言いましたよ」

「え?」

驚きすぎて、達也は瑞希が敬語を使った事に気付く余裕はなかった。

「おまえって、真顔で冗談が言えるんだな…」

「お互いに譲らないなら、それが合理的だと思います」

(おい、冗談じゃねえのかよ?)

「そ、それはそうかもだけど、風呂って、裸で入るんだぜ、普通は」

達也がそう言うと、瑞希は途端に顔を真っ赤にした。それを見て、達也も自分の顔が熱くなるのを感じた。

「朔太郎で頭がやられたか?」

「………」

「じゃ、じゃあ俺が先に入らせてもらうな?」

達也は着替えを探すと、慌てて部屋を出て行った。

達也に言われ、急に恥ずかしさが込み上げた瑞希だったが、達也と一緒に入ってもいいなと、実は本気で思っていた。