「試着しますか?」

「はい、ぜひ。この子に似合うと思いませんか?」

「そうですね…」

店員は手に提げた黒のワンピースと瑞希を交互に見ながら何と言おうか迷っていた。

そのワンピースは、20代の女性をターゲットにした製品だった。そもそも、この店自体が大人の女性をターゲットにしているのだ。

従って高校生と思われるこの少女には、まだ着こなせないはずだった。
でも、黒髪で綺麗な顔立ちの少女に、この黒のワンピースは案外と似合う気もする。


「アンダー次第ですわね」

「アンダー?」

「はい。下に着るブラウス次第で、お似合いになるかなと思いますわ」

「なるほど、じゃあブラウスを何か見繕ってください」

「かしこまりました」

店員はワンピースをカウンターに置くと、ブラウス選びを始めた。