君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

すぐに戻って来た達也は、手に二冊の大学ノートと一冊の本を持っていた。

「これ、化学と数学のノートなんだ。割とちゃんと書いてるから、参考になると思うよ」

そう言って達也は、二冊のノートを瑞希に手渡した。

「あ、ありがとう」

見上げた瑞希は、途端に目を潤ませていた。

「あ、いや、汚い字で読めないかもしれないけどな」

「ううん、大丈夫だと思う」

潤んだ瞳で自分を見つめ続ける瑞希を、抱きしめたくなる衝動を達也は覚え、それを吹っ切るように達也は瑞希との視線を外した。

「な、何か飲むか?」

「いいえ、私は何も…」

「まあ、そう言わずに…。俺はコーヒー飲むけど、おまえもどうだ?」

「あ、はい。じゃあ、いただこうかな」

「オッケー。砂糖とミルクは?」

「あ、両方入りで…」

「了解」

「あの、私がやります」

「いいよ。淹れ方にこだわりあるし。おまえは勉強しててくれ」

「あ、はい。すみません」

達也はテーブルに持ってた本を置くと、キッチンへと向かって行った。