君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

「そうなんですか? お友達とか、その…彼女さんとかも来た事ないんですか?」

「ないよ。みんな来たがるけど、いつも断ってる。たまり場にされちゃ堪んないからね」

「じゃあ、どうして今日は…?」

「ん? それは…春田先生に頼まれたから、かな」

「ああ、そうなんですね。すみません…」

「あ、いや……」

(本当にそうなのか? 違うだろ? 俺は…瑞希に来てほしいと思ったんだ。でも、なぜだ?)

そんな自問自答をする達也は、まだ自分の気持ちに気付いていないのだった。


「あ、ちょっと待って?」

ふとある事を思い付いた達也は、瑞希にそう言い残してリビングを出て行った。

残された瑞希は、達也の葛藤など知る由もなく、再び教科書に向かうのだった。