君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~

「ありがとうございました」

「お、おお。寒くないか?」

「大丈夫です」

「そう? じゃあ座ってテレビでも観ていてくれ」

「はい」

達也は部屋の中央のローテーブルからテレビのリモコンを摘み上げ、壁際の大型液晶テレビに向けて電源ボタンを押した。

「この時間はろくな番組ないけどな」

そう言って達也がリビングを出ようとするのを、「あ、あの…」と瑞希が呼び止めた。

「ん?」

「私の鞄…」

達也は手に瑞希の鞄も提げていた。

「ああ、持っとく?」

「はい」

「じゃあ、はい」と瑞希に鞄を渡し、「ちょっと待っててな?」と言って達也はリビングを出て行った。


瑞希は座り心地の良いソファーに腰掛けると、テレビには見向きもせずに鞄の口を開いた。