佑斗のお父さんとお母さんは、普段はとても忙しいらしく、食事が一緒になる事は、ほとんど無いらしい。


今朝も、佑斗と二人だけだった。


「若旦那、ちょっと…」

組員の一人が、佑斗の側に来て、何やら耳打ちをしている。


すると、佑斗の顔は途端に険しくなり、席を立った。


「晴彦、お前、由奈と一緒に部屋に戻ってくれない?」


佑斗は晴彦に、そう指示を出す。


何だろう?


「あっ、私一人で大丈夫だよ?場所分かるし」


すると、佑斗は私をチラッと見て言った。


「いいから。言う事聞いて」


それだけ言うと、足早に居間を出て行った。