―多彩南区駅前― 人の姿はない。 たった1人少年が立っているだけだ。 黄色の髪が目立ち、ヘッドホンをつけている。 誰かを待っていた。 (あれ…?) 先日、電話があり、 駅の前で待っててくれと言われた。 だが、人の姿はない。 冷たい風が吹く。 冬真っ只中。 もう少しでクリスマスという時期だ。 (寒いな…。) 自然に体が震える。 少年の格好は、今度転入する学校の制服。 すると、 少年はある違和感を感じた。 (俺…誰かに視られてる?)