《最凶の血戦兵器》



閑散とした街並み。
無人の建物の中から街の様子を見ている学校の制服を身に纏った少年。

既に破壊されている所も見受けられる。
何かが地面を抉った跡やら綺麗に2つに切れている電柱が倒れている。


「すでに争った後みたいだ。」


少年の隣に1人の青年がやってくる。
紫色の髪が建物の隙間からの風で揺れる。


「おかえり、色弥さん。」

「後は赤次さんだな。」


磁波エレキ、合世色弥、黒川赤次の3人で北区の現在の様子を探っている。


「向こうのビルが並んでいる所に複数の気配がある。」

「そうなんですか。」


色弥はその方向を指で示す。
高い建物ばかり並んでいる場所がある。
戦うにしては危険な場所だ。


「赤次さん、遅いですね。」

「そうだな。」


時間と場所を指定した本人の姿が見えない。
色弥は携帯電話を取り出した。

すると、窓をトントンと叩く音。
2人は振り向く。


「赤次さん!!」


ロープを屋上から垂らして下がってきたようだ。
そんなに焦ってもいない顔で黒川赤次は言う。


「いやー、参った。」

「え?」


赤次はバッと上を見上げ、ロープから手を放す。

頭上で爆発が起こる。
煙の中から地面に落ちて行った赤次を追うように白い影。


「《烏》だ。赤次さん…何をやらかしたんだ?」


呆れた様子の色弥。
赤次の好戦的な性格が引き金に違いない。

《創始者》の手下の《烏》。
北区を占領するためにやって来た《創始者》の奴隷。


「行きましょう、色弥さん。」

「…うん、そうだな。」


2人は黒川赤次を追うことにした。