「赤次さん…。」

「あれ?色弥、また泣いてたのか?可愛いな。」


からかう黒川赤次。
泣いていたかなんて、顔を見れば一目瞭然。

そう言えば…。


「あの、昨日のタオルです。」

「おお、サンキュ。」


借りた物は返す。
エレキが呆れた表情だ。


「泣き虫だな、色弥さん。」

「…………。」


否定できない。
泣き虫なのは分かってる。
俺は気弱な奴でもある。


「さ、行こうぜ。北に。」


黒川赤次は言った。
事情は会った時に話した。

青崎氷河には能力で俺から繋げた精神世界の中で現状説明を試みている。


「何で赤次さんが?」

「え?良いんだよ。本業は治安維持だからな。」

「…本当ですか?」


黒川赤次は五区代表の命令に従って動いている。

最近では、パシリのような気もする。

赤次さんは俺の肩に手を置いた。
ニヤッと不吉な笑い呟いた。
寒気がする。




「さあ、始めようか…戦争を。」




戦争?
まだ、そこまででは…。
何を考えているのか分からない。


「どうした?色弥。」

「いや…何でもない。」


怖いな。
嫌な視線を感じた。

…今は北区に行こう。
改造能力者の数は50はいる。

襲撃のタイミングは掴めないが、早めの対応が必要なのは確かだ。


「行こう。大変なことになる前に。」