夢中で弾いてると、

温かい視線を感じた。




隣を見ると、

遠夜がいつもの

とびっきりな笑顔で見ていた。


よく見ると、

遠夜だけじゃない。


気付けば、

ほとんどの人が手を止めて見ていた。




白鳥監督、

スタイリストさん、

カメラさん、

出演する人達、

響子さん、


そして…。





「…っ!!」




梓が…幸せそうに笑ってる。





それを見た瞬間、

頭が真っ白になって、

途中で止まってしまった。





何、

動揺してるんだろ?

私。




止まった瞬間、

拍手と

ざわめきが部屋中に広がった。




「やぁー!

噂以上の腕前だね!

素晴らしいよ!」



白鳥監督は、

拍手しながら

そう言ってくれた。




「い、いえ。全然…。」




内心すごく嬉しかったり。




…遠夜のお陰だね。



遠夜に

ニコッと微笑みかけると、

笑い返してくれた。




問題は

これをどう悲しく弾くか。





…うーん。





「美紀ちゃん、

凄い!!

上手だね!」




響子さんと梓が来た。





「ありがとうございます。」




何回褒められても、

嬉しいものは嬉しいね!





「当たり前だ。

これ位弾いてもらわないと困る。」






グサッ。

梓にいわれた!

(しかも上から目線で)




確かに

そうかもしれないけど、

言い方があるでしょーが。





ギロッと睨むと、

フンと鼻で笑われた。




「美紀は

ホントに上手いよ。

歌もピアノも。」




遠夜…。




「うん!ありがとう!」




やっぱり、

遠夜大好き!





「遠夜!

私ノド渇いちゃった。

お茶飲みに行こう!」





響子さんが

突然そう言うと、

遠夜の腕を掴んで引っ張った。




「えっ、ちょっ…響子?!」





「いいから、早く!」






遠夜が

引っ張られて行ってしまうと、





白鳥監督も気付いたらいなくて、

梓と二人で顔を見合わせた。




ふん。

気にしないで、

引き続き

ピアノの練習を始めようとすると、

隣りの椅子がガタンと言った。




みると、

当たり前のように、

梓が足を組んで座っていた。






何でこの人は、

いっつも

偉そうな態度なんだろう。