「美紀ちゃん!
着替えに行くわよ。」
「は、はい!」
そうだった!
仕事仕事!
今日は、
合唱の練習で
美由が
篤司への思いを
強めるシーンと、
反対に
思いが届かず
失恋するシーンを撮るんだ。
まずは、
先に失恋するシーンから
行うことになった。
美由は
篤司が親友と
付き合ってると勘違いして、
ショックを受ける。
練習してたから、
二人で作った曲
『メロディ』の伴奏を弾くんだけれど、
失恋した悲しみのあまり、
泣きながら、
悲しい『メロディ』を演奏してしまう。
このドラマの見せ場の一つだから、
すごく緊張する。
「美紀ちゃん、
ここは篤司への思いが
溢れてくるのを抑えても
抑えきれず、
美由も
気付かずにないてしまう、
そんなシーンなんだよ。
自分が一番悲しかった事、
失恋したことを思いだして、
演じてみてね。」
白鳥監督に
そんな事を言われた。
失恋…ね。
よくわからないんだよね。
うーん…。
「ほんと忙しい奴だな。」
えっ?
振り向くと、
梓が立っていた。
「あ、梓。」
梓は、
くるっと、
私の正面に立った。
「で、
今度は何を悩んでるんだよ。」
何で、
この時聞いたんだろう。
聞かなければよかったのに。

