「…まぁ。

人間だから、

仕方ないよな。



俺も最近忙しくて、

休めなかったし。



…いい機会だろ?」





えっ?




梓を見ると、

たまに見せてくれる優しい笑顔だった。






…気を使ってくれてるんだ。







「…ありがとう。」







素直にそう言った。






「分かったなら、別にいい。



それにしても、

最近、お前変だよな?

体調崩す程、

レッスン追い込んでたろ?

…何かあったのか?」





熱で、

頭が

どうかしていたのかもしれない。


誰でも良かったのか、

梓が良かったのか、


…自分でも

よくわからないけど、

この時、

梓に相談したくなったんだ。






「…実は…。」






自分でも気付かない程、

一人で悩んでいたらしい。




Voiceのことは、さすがに

言えなかったけど、



更衣室で女子生徒に言われたことなど、


今までそんなに、

興味がなかった事や

変わってきた自分の気持ちを


全部話した。




梓は、

ただ、静かに話を聞いてくれた。





「最初は興味無かったし、

巻き込まれて迷惑だと思ってたけど。


更衣室であの人たちに言われて、


このままじゃいけない。

今からじゃ、遅いかもしれないけど、

頑張らないと!って…。」






私、間違ってないよね。




黙って聞いてくれていた梓が、

初めて口を開いた。






「お前らしいと言うか、

何と言うか…。



まぁ、

そういう努力する所は、

スゲーと思うし、よくわかるよ。」