「もしもし?
社長ですか?
高丘ですが、
…実は、
今、道が混んでて、
車が止まってしまいまして…。
はい?
いや…流石に、
バイクも
ヘリコプターも無理かと…。」
ど、どんな話してるんだろう?
見守っていると、
高丘さんは、
電話を私に差し出した。
「へ?私ですか?」
高丘さんは、
苦笑いしながら、頷いた。
恐る恐る代わると、
社長の声に耳を塞ぎたくなった。
『美紀ちゃん!!!
どうにか、
こっちに来てくれ!!
梓や君の将来
…いや、
プロダクションの未来の為に!!』
社長が興奮してる…。
ふと、
脳裏に浮かぶ先日の事。
その時は、
ほとんど第三者だったから、
冷静にいたけど。
今度は、第一人者。
結構、プレッシャーだ。
胸が急にドキドキする。
何か言わなきゃ。
そう思って、息を吸い込むと、
電話の向こう側から、
誰かが言った。