☆9☆


「君!

代わりに歌ってみないかい?

と、言うか歌ってくれ!!」






「はいい?!」







私は、目を白黒させた。








この人。





今、なんて言った?!








私の返事など、お構いなしで、

社長は、話を進めていた。








「よし!準備だ!!

今すぐ、ベルと対になる

この男装衣裳と

白い仮面を着てくれ!」













「え?!」















「それとデュエットの譜面はこれだ!

覚えられるかい?」















「えっ!ええっ?!」














さっきまでの絶望感が、

何処へ行ったのか、

嬉しそうに

忙しそうに走り回っていた。











「い、いえ…あの…」









私が、何か言おうとすると、

私の方を向いて、目をキラキラさせた。









「お願いだ!

頼むよ!

ね?

君だけが、頼みの綱なんだ。

オーディションも無しに、

デビュー出来るなんて、

こんなラッキーな事、ないよ!

どうだい??」









私は、首を横に振り、

衣裳を突き返して、怒鳴った。