「私、そんな話聞いてませんよ!」
私が、不満な声でそう言うと、
社長は、なだめるように、
立ち上がって言った。
「それは、申し訳なかった
って思っているよ。
でも、何て言ったって、
美紀ちゃんは、
絶対に嫌がると思っていたからね。
話し合って、決めた事なんだ。」
確かに。
私は、まだ、この業界に
それほど、興味を持っている訳では無い。
ただ、”遠夜”と”歌いたい”
と言う思いだけが、
私を繋いでいるようなものだ。
もし…。
これ以上、仕事が増えるようなら、
”今までの私”だったら、
間違え無く断っていただろう。

