「…お前、ホント変な女だな。。。」














「えっ?」










梓が、

突然、意味の解らない事を言うものだから、


思わず聞き返してしまった。






梓は、椅子から立ち上がって、

ピアノの前に来ると、両手を上に揚げて

伸びをしながら、言った。







「…上出来だろ。



この短時間で、ここまで、

出来れば、たいしたもんだ。




落ち込む必要なんか、ねぇよ。

自信持て。」













私は、この時。









…ほんの少し、






少しだけ嬉しかった。










責められるって思ってたんだ。








”あれだけ、でかい口叩いて。

たいしたこと無いじゃん!”






って。











それに、、、







一応。




一応これって、さ…。










「…それって、

一応、褒めてるの?」









私が、そう聞くと、

梓は、不機嫌そうに言った。





「…うるせーよ。




それより、そろそろ、合わせるぞ。」









顔は見えないから、

よく判らないけれど、




少しは、

私に気を使ってくれたんだよね。









…いいとこ、あるじゃん。










私は、一気に、気を取り戻して、




「はいはい。それじゃぁ…。」






と返事して、弾き始めた。