うーーーん。…それにしても、だ。



この『メロディー』という曲、すっごくいい曲である。












”一緒にいられることがどんなに幸せなことなのか”







”ひとりじゃ歌広がらない”







”二人でいることの大切さ”






 …本当に、良い歌詞だなぁ…。

私も歌いたいかも…。






私は、気に入って、食い入るように見ていたが、

梓が、これから、本番前なのを、思い出して、慌てて返した。






「…ご、ごめん。」





梓は、譜面を受けとりながら、笑って言った。




「別に、構わねぇよ。

もう歌詞は、頭の中に入ってるし。

この曲いいだろ?


今まで、歌った曲の中でも、結構、気に入ってんだぜ?」




私は、正直な気持ちで、頷いた。



梓は、それまで、笑顔でいたけど、

突然”フッ”と、顔を暗くして、言った。




「…んにしても、

最近マジでツイてねぇんだよなぁ。

…アイツと元に戻る、きっかけになると、思ってたんだが…。」




「…元に戻る?」




私が、首を傾げて言うと、梓は、グッと伸びをして言った。




「…あぁ。

なんか、最近さ、アイツ…遠夜のことだが、


俺に素っ気ないってか…冷たいんだよ。




なぁんか、ミョーに避けてるっつーか…。

たまに、お前みたいに、口も聞いてくれねぇーんだ。」




梓は、とても深刻そうな表情で、話していた。



私は、仮面の下で、苦笑いをした。