…ということで。






私達一行は、

すぐ様、事務所へ向かう車に乗り込んだ。





社長いわく、突然のハプニングは、

この業界の仕事には、つきものだそうで…。



車の中では、バッチリ梓の隣りに座り、

様子を見ることになった。(迷惑な話だ…)




車の中での梓は、

ずっと、今から歌う譜面を、読んでいた。




私が横目で、チラチラと見ていると、

梓は、気付いて、笑って言った。




「…譜面、気になるか?

そっかぁ。。。

お前も歌手だもんな。歌うの、やっぱ、好きだろ?」





私は、無言で頷いた。



すると、梓は、譜面をよこして言った。




「…俺も仕事の中で、歌うのが1番好きなんだ。


上手く歌えると、すっげぇ、気持ちいんだよな!!」





…ふぅ~ん。

コイツ、仕事の為にやってる!

って、感じの奴だと思ってたけど、

一応、それだけ、じゃないんだぁ~。



私は、少し感心して、早速、譜面を開いた。




よく使ってあるらしく、

ボロボロの譜面である。書き込みも多い。




どうせ、私の苦手なラップとか、

はたまた、バリバリのやつかな…と思ってたんだけれど、




意外に、緩やかな…。

それこそ、どこかの中学校で、授業で、歌われてそうな、

私の、好きな曲調の歌だった。



…考えてみれば、ピアノ伴奏なんだもんなぁ。

ラップとかの訳ないか。