トナカイが生クリームを食べている間。
冬の妖精がプレゼントを丁寧に開けていたのだった。
すると、中には。
「クッキーだ…………」
「ふぉっふぉっふぉ!」
「トナカイさん!」
振り向いたトナカイの口のなかに、優しくクッキーが放りこまれたのだった。
冬の妖精は最高の笑顔でいる。
幼くとも、妖精なのだ。
「ビスケット、食べちゃってごめんね!」
「んんんー、いいんだよ。ははは」
それぞれの夜が明けていく。
素晴らしいプレゼントをもらい、素晴らしい幸運をもらい、素晴らしい奇跡を待つのだ。
この世界は、そうやって回っているのだろう。
おしまい。



