「赦(ゆる)されないことなんて、ないんだよ。それに――――」
「え……?」
「君はちゃあんと謝(あやま)れたじゃないか」
冬の妖精の顔がくしゃり、となり。そうなったかと思えば大声で泣き始めた。
全てを吐き出すように泣いたのだった。
サンタは隣(となり)で見ている。
思いついたように、冬の妖精に語りかけるのだった。
「冬の妖精や、そなたも魔法を使えるのだろう」
「うん……」
「このトナカイはどうしてか生クリームが大好きでな。どうかひとつ…………」
「……はいっ!」
冬の妖精が目をつぶり、口角を上げて微笑むように呪文を唱えた。
すると、空から粉砂糖(こなざとう)が降ってきたのだった。
サンタが、どこから出したのやら生クリームを作る準備をしていた。
トナカイは幸せな気持ちに包まれている。
こんなことが、あっただろうか。分からない。
しかし、今年はいい年になりそうだ、とそんなことを考えていたのだった。



