あなたと出会った日の私…。
まだ恋なんてした事なかった。
桐谷 未来 17歳の春。

「わ〜っ!遅刻ぅ。」
遅刻しそうだった私。全速力で走った。
校門の前で何かにつまずき、ハデに転んだ。

「キャッ!」
クスクスと周りからの笑い声。
私は、顔が真っ赤になり、恥ずかしさと痛さで立つ事ができなかった。

(どうしよぅ〜。はずかしぃ。)

その時目の前にすっと手が…。
そっと見上げると、前には超イケメンの人が…。
(こんな人、この学校にいたなかぁ?)

「大丈夫?」

「あっ。はい。」
彼はすっと私の手をつかみ引き上げてくれた。

(このドキドキした感じは何?)
私は、急に胸が苦しくなった。
(もしかしてこれが恋…。一目惚れってやつ?!)

私がボーッと立っていると、彼が私の頭をポンっとたたきながら、笑っている。

「君、おもしろいね。」

私ははずかしさのあまりとっさに、
「ごめんなさい。ありがとうございました。」

と言いながら校舎に向かって走って逃げてしまった。


これが彼との始まり。