「まだ!?」

そう、携帯からややヒステリックな甲高い声が漏れる。

ヤベ、怒ってる。

「今家帰るとこだよ」

「もー、早く買ってきてよ!お腹すきすぎて死ぬ」

「はいはい、分かりましたって。ホントあとちょっとだから。待ってて」

短い返答も無しに、ピ、ときられてしまった。

かじかむ手でケータイをなんとかポケットに押し込んだ。

手に抱えてる、白い立方体の箱を見る。その中に入ってるのをアイツが食べる姿を想像する。

っと、早く帰んなきゃ。

箱をできるだけ揺らさないようにしながら、俺は真っ黒な夜空の下を小走りで駆けていった。