恋するサンタクロース

「さっき大和が言ったとおり、俺は後のことなんか考えずに飛び出した。 ほんまに相手が刃物持っとったらどうなっとったかわからん。 エレナちゃんに怪我させとったかもしれん。 それに、俺が暴れたことで店やお客さんにもめっちゃ迷惑掛けてもうた。 そういうことに対する勉強料や迷惑料として、俺はなにかしらの罰を受けなあかん。 それが金や言うんやったら軽いもんや。 せやから、俺に払わせてくれや、エレナちゃん」

急に真剣な声になって、申し訳なさそうに笑う彼に顔を伏せた。

そんな顔をして欲しくなかった。

すっと長門の前に手が差し出される。

親指だけを折った状態で。