あたたかな結晶



しかたなくゆっくりと顔を上げてびっくりした。


何だか今日のしずはいつもと雰囲気が違った。

何だか怖い。


「…しず?」


「なあ、今日一緒に帰ろ」


「やだよ。あたしまだノート写せてない」


本当はもう帰ろうかと思っていたけれど、それとは裏腹な言葉が口をついて出た。

だってしずがしずじゃないみたい。


…本当に、しずだよね?


「そのぐらい待つ」

しずが眉間にしわを寄せてぶすっとした顔で言う。


そんな顔で待たれても全然うれしくないんですけど。