あたたかな結晶



みんなが部活に遊びに勤しむ放課後、あたしはうたた寝して取り損ねたノートを友達に写させてもらっていた。

ところがこれがなかなか厄介。


理解するまで先に進めない性分なものだから、あたしは友達のノートと睨みあったまま手を動かせずにいた。

首をひねって肩をまわして深呼吸してみてもひらめきはやってこない。


写すだけ写して帰ってしまおうかな。

そう思っていたあたしの頭上から、黒い影が落ちる。


「かな。今日暇?」

「見りゃわかる」


あたしが暇してないってことぐらい。

しずのことだから許してくれると思って、あたしは顔を上げずにノートと向き合う。


しずがちょっとだけ不機嫌になったのが空気で読めた。

いつもはこのぐらいじゃ怒らないのに。