あたたかな結晶



だけどあたしたちの関係は学校についた途端に希薄なものになる。


「お、静季。おはよー」


「おはよー。さっみぃなぁ」


しずにはしずの世界があるし、あたしにはあたしの世界がある。

下駄箱に着いた瞬間から、あたしたちは他人になる。


だから2人で学校に来ることはあっても、2人で一緒に帰ったことは多分ない。


そしてしずは、学校ではちょっとしたヒーローだ。


「静季ー、来るのおせぇよ」

「早く来いよな」


しずにはしずの世界がある。

だけどその世界は、たくさんの人の世界と共通だ。


あたしのちっぽけな世界とは、くらべものにならないくらい。