あたたかな結晶



あたしたちは恋人同士なわけでもなければ、幼なじみなわけでもない。


そもそも彼のことを知ったのは、高校に入ってからだ。

元々同じ中学だったらしいけど、中学生のあたしは全校生徒の顔と名前が一致するほど記憶力が優れてない。


だから高校で同じクラスになって、どことなく顔を知っているようなやっぱり知らないようなもやもやした気持ちでいると、彼の方から話しかけてきた。


「なぁ、俺牧坂中学出身なんだけど、もしかしてあんたも?」


ああやっぱり、と思った。


それから意外と家が近かったこともあり、しずとはそこそこ仲がいい。

今日みたいに、気が向いたときは一緒に学校に行ったりもするぐらいには。


多分、あたしが知ってる中では一番の友達だ。