あたたかな結晶



外に出ると、小さな雪の粒があたしたちの頬を打つ。


傘を忘れたと騒ぐしずに鞄から出した折りたたみ傘をそっと差し出せば、彼は顔を赤くしてあたしの隣にやってきた。


吐く息は白いのに、それでも気持ちが温かいのは。


この優しい雪としずのおかげだね。



冷たくてもこんなにあたたかな結晶があることを、あたしはその時初めて知った。




君と、雪が見れてよかった。



end.