あたたかな結晶



なかなか返事が出来ずにいると、しずは笑っていた。


「かなはやっぱりトロいなぁ」


「うるさい…っ」

瞬間首に伸びてくる大きな腕。


雪が降るほどの寒さも和らげるその温かさに、思わずホッと安堵の息が漏れる。

でも、しずは…。


「しず、ほんとにいいの?」

「は、何が?」

「だって、しずはヒーローなのに」


ぽつりとつぶやくと、彼は不可解そうに首を傾げた。

あ、しまった。


こんなこと言うつもりじゃなかったのに。