あたたかな結晶



教室には人はほとんどいない。


終業式の後だから、みんなさっさと帰るか部活に行っている。

借りたノートは机の中に入れておけば部活の後に取りに来ると友達が言っていたからまだ時間はある。


そんな風に別のことを考えていないと、ノートを写すことに集中できそうもなかった。


「かな休んでた日あったっけ?」

しずがあたしの前の席を勝手に拝借して話しかける。

「休んでないよ。ちょっとボーっとしてたら先生に黒板消されちゃったの」


体ごと椅子をこっちに向けたしずが、屈託なく笑った。

「ははっ、かなはトロいな」


「うるっさいなぁ」

今度はあたしの方が不機嫌になる番だ。

ノート写しに集中する振りをして、しずを視界から外してやる。