alternativeⅡ

当然、サーシャも心の機微に敏感な思春期の少女だ。

妃の変化を見逃さない。

そして、それをそっとしておいてやれるほどの機転が利くほど大人ではない。

「どうしたんですか先生?泣いてたんですかっ?」

「あー…いや、泣いてないわよ?」

「嘘です!さっき泣いてましたよ!」

「目にゴミが入っただけだってば」

「何かあったんですか?辛い事とかあったんですかっ?」

良かれと思って問い詰めてくるサーシャを、妃は苦笑いしながらはぐらかした。