「はい?」

まだ傷の事で何か話があるのだろうか?

振り向く少女兵士、サーシャ。

「確かサーシャの部隊は女の子ばかりだったわよね」

妃は医務室内の片隅にある冷蔵庫から、箱を取り出した。

「時間の合間を縫って、チーズケーキを焼いてみたのよ。冷たく冷やしてあるから、ジェシカや他のみんなと一緒に食べなさい。あ、大丈夫よ、保管してたのは医務室の冷蔵庫だけど、作った場所はキチンと食堂の厨房を借りたから」

「うわ!ケーキですか!」

サーシャが年頃の少女らしく瞳を輝かせた。

「長い事甘いものなんて食べていなかったんです!部隊のみんなも喜びます!」

「そうだと思ったわ」

妃は微笑んで、ケーキの入った箱をサーシャに手渡す。

「今日は24日だもの。ケーキくらい食べないとね」

そう言って彼女は、医務室の窓際に飾ってある小さなクリスマスツリーを指差した。