alternativeⅡ

国連陸軍イギリス支部。

基地施設内を一人の青年将校が歩く。

背筋の伸びた姿勢のよさは、彼の性根をそのまま表しているかのようだ。

意志の強さを感じさせる強い眼差し。

軍服のベルトには、鞘に納められた10式近接戦闘用軍刀。

それとは別に刃渡り30センチはあろうかというサバイバルナイフがぶら下がっている。

彼の所属するSAS(イギリス陸軍特殊空挺部隊)は、然程ナイフ術や近接戦闘に重きを置いている訳ではない。

彼が軍刀やナイフを常時携帯しているのは、彼が『双剣の神』の異名をとる士官であるが故。

沖田 蒼真(おきた そうま)少尉。

まだ19と若輩ながら、このイギリス支部で唯一の日本人士官として、その存在感を醸し出している。

彼の年齢ならば、普通ならまだまだ上官にいいようにあしらわれて当然。

しかしイギリス支部の誰もが、彼には迂闊に口出しは出来ずにいた。