alternativeⅡ

バージニア州にあるアメリカ特殊部隊『Navy SEALs』の本部、リトルクリーク基地。

美しい砂浜とどこまでも続く水平線。

とても軍事基地とは思えないような美しい場所だ。

陽光降り注ぐ清々しい海岸。

…その海岸とは無縁の、基地施設地下。

暗く淀んだ空気が沈殿するかのような、その一角。

一人の兵士が階段を降りてきて、見張りの兵士と敬礼を交わした。

任務交代の時間らしい。

「どうだい、『堕天使様』の様子は」

「相変わらずだな…部屋の隅に蹲って、なんかブツブツ言ってるぜ」

クチャクチャとガムを噛みながら、嘲りの笑みすら浮かべて兵士は言う。

…視線の先には独房があった。

通常の独房よりも遥かに頑強に作られた鉄格子の向こう。

一人の青年が、コンクリートの床に直接座り込んで膝を抱えていた。

ボサボサの黒髪、肌は異常なまでに白。

美形だが目のくっきりな隈が台無しにしている。