alternativeⅡ

ルシファーの言葉に、リトルクリーク基地の兵士達は返す言葉もない。

彼の言う事は確かだ。

この基地の者達が、ルシファーをAOK臓器移植実験の被験者第2号としたのだ。

そしてその実験が失敗だったとわかると、極東支部横須賀基地の被験者第1号に対してのように上官としての敬意を払う事すら忘れ、まるで禁忌のように彼を軟禁した。

完全抗体保有者の運命など紙一重。

一歩間違えれば、人間としての尊厳すら奪われる。

この時代、完全抗体を持って生まれるという事は、よくも悪くも『兵器』としての扱いしか受けないという事なのだ。

それでも。

「自暴自棄になるな」

穏やかに、しかし厳しく。

アレクセイはルシファーを咎めた。

「殺戮に酔いしれているような振りをして悪ぶるな」

「何だと?」

ギロリと睨むルシファーに臆する事なく、アレクセイが言う。

「お前が戦場で見境無しに殺戮を繰り返すのは、自分を殺してくれる者を待っているのだろう?」