alternativeⅡ

その頃、リトルクリーク基地の司令室。

宇宙鉱石を輸送中の輸送艦から、間もなく基地に到着するという連絡があった。

受話器を置き、司令は溜息をつく。

ようやく我が基地から厄介者が去ってくれる。

軍を統括する者として、このような考えを持ってはならないのだろう。

だが正直な所、この基地からルシファーがいなくなってくれるのは有り難かった。

これまでルシファーの脱走未遂によって、司令は何度も管理責任を追及されている。

今度もし何かあれば、彼のクビが飛ぶ事になるだろう。

そうならない為にも、ルシファーを一刻も早くこの基地から追い出したかった。

…完全抗体を保有していたばかりにモルモット扱いされてしまったルシファーの境遇には、少なからず同情はしている。

しかしたかだか支部の基地司令の立場である彼には、ルシファーを助けてやる事などできない。

軍とて縦社会の組織。

上の命令には逆らえないのだ。

それがどんなに非人道的な実験の実施命令だとしても…。