alternativeⅡ

アレクセイは隕石に関しては知識がない。

故に詳しい事は、後から来るであろう調査チームに任せるしかないのだが…。

「どう思う、マーガレット」

アレクセイは傍らのマーガレットに問いかける。

「…AOKは内部にいないんでしょうか?もう落着から10分は経つのに…」

隕石内部にAOKの卵があるのならば、高熱と落着時の衝撃で孵化し、既に地表に姿を現している筈だ。

それがないという事は、この隕石にはAOKは存在しないという事か。

まだ手放しには喜べないが、とりあえず現状での危険はないと考えていいらしい。

となると、基地内に残っている負傷者や生存者達の救助だ。

今尚炎上する基地施設。

多くの兵士が爆発の犠牲になっているに違いない。

「くそっ…!」

歯噛みしながら走り出すアレクセイ。

「どうして次から次へと…宇宙というのは災厄の宝庫か!」

毒づく彼の言葉。

しかしこの飛来した隕石が災厄ではなく、むしろ人類に有益をもたらす物である事が判明するのは、この数時間後の事だった。