その永遠に続くと思われた戦争にも、一縷の光明が見え始める。

『完全抗体』

AOKは人類に対して有害な分泌物を口から出す為、AOKに噛まれた者は僅かでも分泌物が体内に入れば死に至る。

しかし100万人に1人の割合でAOKの分泌物に対する抗体を持った人間が存在する。

彼らは決して死なない訳ではない。

だが劣勢に立たされていた人類にとって、これは大きなアドバンテージといえた。

国連軍はこの完全抗体保有者を徴兵し、AOK殲滅の切り札として精鋭部隊に配属する。

本人の意思とは無関係に。

人類滅亡の危機から脱する為に、或いは己の保身の為に。

全ての希望を託され、或いは身に迫る脅威を全て押し付けられ。

時には人間の尊厳すら奪い去られて。

完全抗体保有者達は、過酷な戦場の最前線へと向かわされていた。