alternativeⅡ

「人類の命運を賭けた最終作戦を前に遅刻とは、大した胆力だな、ええ?妃少尉」

額に青筋を浮かべたアレクセイが、それでも辛うじて理性を保ちながら穏やかに言う。

「ごめんなさいっ、本当に悪かったと思ってるからっ」

90式歩兵強化装備に着替えを済ませ、妃は両手を合わせて平謝り。

その隣では、同じく90式歩兵強化装備を身につけたシオンが『だから言ったのに』と言わんばかりに溜息をつく。

「何をしていてこんな時間まで眠りこけていたんだ?」

「あぁ…それは…」

アレクセイの問いかけに、妃は腰のポーチから何かを取り出した。

小瓶と注射器。

小瓶のラベルからして、何かの薬品のようだ。

「…それは?」

シオンも興味深げに小瓶を覗き込む。

「ルシファー少佐の為に作ったものでね…」

妃が言いかけた時だった。